

第1回温度生物研究会
2025年8月21日(木)午後〜22日(金)昼に岡崎カンファレンスセンター(愛知県岡崎市)にて 開催します。 詳細は下記HPより確認ください。 https://sites.google.com/view/tbf202...
58


第2回温度生物研究会
2026年8月に静岡県立大学(静岡県静岡市)にて開催予定です。 詳細は決まり次第、案内いたします。
16
全ての生命科学は温度に通ず
―生命活動のそばに温度あり―
温度は全環境に存在するパラメーターであり、あらゆる化学反応や物理現象に影響を与え、生物の存続と進化に決定的な役割を果たしています。近年の人類活動による温暖化に限らず、長い歴史の中で気温変動が常に生態系に重大な影響をもたらしてきたことは言うまでもありません。このような重要性にも関わらず、生物への温度の作用については長らく謎のままでした。しかし、1997年の温度感受性TRPチャネルの発見が大きな転換点となり、今では様々な生物の温度応答や順応を分子や神経回路のレベルで説明できるようになってきました。
従来の研究は、TRPチャネルを介した温度受容に代表されるように、生物が「温度に支配されている」事象の解明が中心でした。しかし、生物は積極的に「温度を支配(利用)する」能力があることも分かりつつあります。免疫応答における発熱やニホンミツバチの蜂球形成は産熱を防御に活用し、温度依存的な爬虫類の性別決定や昆虫類の休眠性決定は環境温度を生存戦略に取り入れた例です。さらに動物の冬眠には、寒冷期の回避に加えて様々な生理的利点があり、医療や宇宙事業への応用が検討され始めています。最近では細胞や組織内の温度の不均一性が報告され、温度が情報伝達因子として機能する可能性も示唆されています。今、生命科学において温度研究がかつてないほどに熱を帯びています。
この研究会は「温度」をキーワードに、生命現象を温度の視点から見つめることで新しい気づきと発想を得ることを目的とし、動物・植物・微生物学から生態学、環境学、進化学、さらには化学・物理学など、テーマを限定せずに温度と生物の多様な関係性を探究する場として設立されました。本研究会が「温度研究のるつぼ(メルティング・ポット)」となって、私達自身から新たな研究領域が創出されることを期待しています。皆様のご参加をお待ちしております。